陽ちゃん物語第4話〜もりっち〜
小学校三年生
当初僕は人を笑わせることも苦手だったし
人と何かを共有することもあまりしなかった
その頃流行った遊戯王カードも眺めて終わった
ポケモンはハマったが一人で黙々と
レベルを上げていた
友達と遊ぶのも外でサッカーをするぐらいで
大した記憶もない
人付き合いというのは難しいものだと
当時の僕は思っていただろう
なんか寂しいな
その感情がふとした時に降りてくる
そんな哀愁漂う小学生だった
ミニバスを始めた頃は
とにかく走り込みが辛かった
大して走ってもいないが息は上がる
ストレッチはお腹が邪魔してうまくできない
靴を結ぶのも一苦労だ
僕は太っていることを知った
周りは痩せていて僕は太っている
それを知って少し憂鬱になった
パス練習をしていた時だっただろうか
誰だかは知らないけど僕にあだ名をつけた
「もりっち」
もりもり太っているからという理由だった
これが始まりだった
僕は複雑だった
これは馬鹿にされているのか
それとも仲間に入れてくれる形なのか
わからないから笑ってた
それからもりっちは
特に上級生の中でその名前は広まった
そして練習の度になんやかんやと
からかわれ始めた
いじめは
回を重ねるごとにエスカレートしていった
僕は嫌だった
仲間にも入れた気がしないし
優しいとは感じない
疎外感さえ感じる
辛い。
僕は日に日に練習に行くのがしんどくなった
練習は辛いし、いじめられるし
とにかくなんでやってるのかがわからなかった
それと重なってこの辺りから監督が変わった
鬼のように怒鳴り散らす人だった
この日から
カラスのような少し高い声が体育館中に響いた
全員が萎縮し、怒られないように必死だった
追い討ちのような出来事だった
いつの間にか
新鮮だった夜の体育館の眩しい光は
嫌なものに変わった
更衣室の汗臭い匂いも
体育館の埃くささも
全部嫌だった
練習が始まる前のあの憂鬱な感情
苦しくて辛くて逃げ出したい
僕は今でも当時の感覚は鮮明に残ってる
匂いと感情はなかなかに消えないものだ
僕は辛くてミニバスに行きたくなくて
度々仮病を使って休んだ
ミニバスがある火曜日と木曜日は憂鬱だった
1年は耐えただろうか
僕は小学4年の時にミニバスを辞める決意をした
0コメント